第9章 アカデミー夏祭り
アカデミーに到着し、玄関には大きな看板が目に入る。
【木ノ葉隠れ里アカデミー夏祭り】
その看板をバックに次々写真を撮影する男の人がいる。アカデミーに通う子供達はみんなニコニコ笑顔だ。
「こんにちは、あなたも撮りませんか?」
話しかけてきた柔らか腰の男性は、茶色の癖毛で、瞼から頬に掛けた特殊ペイントがあり、カカシと同じ場所の口元にホクロがある。かなりのイケメンだ。
カカシによく似ている、親戚だろうか。
ジーーーっと見つめていれば、もう一度同じ質問をされ、ハッとしてすぐに喋って応えようとしたが、唸りだしてしまう。
「いや、私は……」
写真なんて証拠残したら大変危険だ、何としても避けたい…。
「撮ってもらえ。何か不都合があるのか?」
「い、いえ、そういう訳では無いんだけどね……。」
しまった理由が浮かばない。
悩んでいると、男性が声を出す。
「張り出したりしませんから、安心してください。出来上がれば、お渡ししますよ?」
その声を聞き、ホッと胸を撫で下ろし、看板の前に立ち、パックンと撮影した。
カカシに似たカメラマンにお礼を言い、アカデミーの中に入ると、もう準備が半分以上進んでいる。確か夕方から始めると言っていた、カカシの言葉を思い出す。
本当は、藍ノ里にさっさと帰ろうと思ったが、何日もいるように感じるが、まだ二日目。もう少し様子を見ようと、この地に留まっている。
まだ、帰りたくないのだ。