第8章 夜の木ノ葉隠れ里
「え、もう帰っちゃうの?」
「うん、明日の祭りの準備とか忙しいんだよね。オレも太鼓の練習したいし。」
宿の前に着いて、すぐさま帰ろうとする火影様。明日、何かイベントがあるようだ。
「木ノ葉で明日夏祭りがあるんだ。行ってみたい!!」
瞳をキラキラ光らせてカカシを見ていれば、うーん、と少し悩んだ様子をしていた。
「アカデミーの子供達用の祭りなんだよね。あ、暇でしょ?明日手伝ってよ、準備とか大変なんだよ。ね?」
カカシが閃いたようにニコニコ私を見つめている。
「いや、確かに暇?といえば暇だけど…
よし、わかったよ、何時に行けばいいの?」
カカシに了承して時間だけを聞いてみるが、アカデミーという場所が、どこにあるかも知らない事に今気がついた。
その姿に、カカシがニンマリ笑って見つめる。
「パックンに迎えに行ってもらうよ。とりあえず三時ぐらいに迎えに行くから、よろしく。」
「あ、うん、了解!」
「助かるよ、」
「まあ、暇だしね、えへへ。」
言葉を笑って言うと、ふと影が出来たと思って上を見れば、カカシが顔を近づけ、何か言おうと口を開けた途端にキスをされる。
「…っ…ん、……カカシ……」
今まで彼とは何度も、キスをしてきたはずなのに、違う……なんか違う。
吐息を熱くし、トロトロの瞳でカカシを見つめてしまう。カカシに頭を優しく撫でられ、ドキドキする。彼に触れられる場所が愛しく感じる。
(好き?カカシを私は……)
ボーーッとカカシを見ていれば
また明日な、と耳元で囁き、早々と帰って行った。
後ろ姿を見つめ、
私は思わず溜息をついて宿に入り部屋に戻った。
シャワーを浴び、頭を乾かしベッドでゴロンと横になって天井を見つめている。
本当は……カカシに里の話をしたい。
彼に里で使われている方言を使って普通に話がしたい。
カカシを暗殺なんか出来ない。
彼を本気で好きになっている。
それは、誤魔化せないぐらい、
溢れていて、隠せない。
そんな人を……絶対出来ない、無理。
ならば、もう私は任務失敗だ。
帰らないといけない。
まだ帰りたくない。
冬の空を見上げてみたい。
全部叶えれない、何かを犠牲にしないと
何一つ叶わない。