第8章 夜の木ノ葉隠れ里
何軒か回って色々堪能すれば満足して、のんびり宿に向かっている。もう時間は九時を回っている。
「木ノ葉は空が綺麗だね、星がキラキラ透き通って見えるね…。」
夜空を見上げて言えばパックンは不思議な顔をしている。
「普通じゃないのか?」
「ああ!いや、今日も綺麗だなーって思って…。うん、そうだね…普通だね。」
違うよ…普通じゃないよ。私の藍ノ里は星があんまり見えない。いつも夜の空は霧がかかっているんだよ。こんなに満天の星空を私は見たことが無いよ……。
「何ボーーッとしてるの?」
上を見上げながら歩いていれば、突然、カカシの顔が見える。
「っおお!!?ビックリした!」
いきなり背後にいて思わずビックリしてカカシに身体を任せてしまい、バックンバックン心臓が脈打っている。
完全に油断していた。カカシが気配を消していたのだろう、それでも私が完全に油断して夜空を見ていた。
「…パックン、悪かったな、助かった。」
「いや、カカシ、気にするな。」
ドロンッ……と煙と共に姿を消した。
「カカシ、早く終わったんだね?ご飯は食べた?さっき、パックンと肉まんとか唐揚げとか色々食べ歩きしてたんだ。やっぱり木ノ葉は美味しいものばっかだね。」
手を恋人同士のように握って聞いてみた。
私は内心ハラハラしていた。この手さえ解かれてしまえば私は泣いてしまう。
オドオドしながらカカシを見るが、彼は空を見上げていた。
「ふーん。…今日、色々分かったけど、一番収穫な情報が一個分かった。の里は星があんまり見えない。綺麗じゃないんだな。」
ニヤリと笑って私を見下ろす。
私は、今日最大の失敗をカカシに渡してしまったようだ。
「………うん、こんなに綺麗じゃないよ。」
「はい、オレの勝ちーー。」
諦めて正直に答えれば、クスクス笑って、満面の笑みを浮かべ、私の頭をヨシヨシと撫でている。
その顔をみて、ドクン…っと心が揺れていた。
落ちたのは私が先だったようだ。顔がどんどん赤くなっていく。その姿を満足そうにみている。本当に、彼には勝てない。
分かっている。
知りたいって、私のことを知りたいって思っていることを分かってる。
でもいえないんだよ。
アンタは、私のターゲットなんだから。