第8章 夜の木ノ葉隠れ里
そのままいつのまにか、夕方まで寝てしまい、起きて一瞬、朝か昼か夜か分からなくて焦ってしまった。時計を見て、ヒィッと悲鳴をあげる。四時間ぐらい寝てしまうほど、私は疲れていたようだ。
「もう五時半…か…寝すぎた……」
本当に、"はたけカカシとあんな事"をやってる場合ではなかったようで、身体が悲鳴をあげていたらしい。だけど寝たらスッキリ爽快な気分で、背伸びをして、外に出る準備をする。
今、頭の中は"夜ご飯"でいっぱいだ。
唐揚げの匂い、カレーの匂い、豚まんの匂い……デザートも食べたい…。まだあるはずだ。全部制覇してやる……!!
ギラギラ瞳を燃やし、残りのお金を持って部屋をルンルンで出かければ犬がいる。
「……パグ犬?…忍犬?」
宿の前に何故か、背中に大きく、へのへのもへじのイラストが描かれた犬用の藍色の忍服を身につけた犬がいる。頭には木ノ葉の額当てをしている。
木ノ葉……ということは、カカシの差し金かな、と結論に至る。
短鼻の小型で短毛で垂れ耳、巻き尾。
色は茶色、口周りはさらに深茶色。
うーん、噛まれたくないし…、と悩んで見ていたら、ジロリと私に気がつき声をかけてきた。
「か?カカシが今日夜遅くに行くらしいぞ。だからそれまでワシが監視役だ。パックンと呼べ。」
「はい!そ、それはご丁寧に、ありがとうございます。」
何で私は敬語だ。思わず敬礼してしまいそうな犬だ。なんて貫禄のある犬なんだ。
「は、今からどこに行くつもりだ?」
「ちょっと夕食を食べに……あのー撫でていいですか?」
了承を得て、頭をヨシヨシ撫でながら気づく。パックンからカカシの匂いを感じる。やはり忍犬らしい。忍犬から情報を得れたら欲しいが、このパグ犬も隙がない。
''監視役"
本当に信用していないみたいで、一気に気落ちする。その様子をパックンが見て話しかけてきた。
「、それが口実で、今日夜でも行くと言いたかったんだろう、カカシは。」
とうとう犬にまで同情されて慰められるとは……そんなにへこんだ姿をパックンに見せていたようだ。
「さぁ……違うと思います。あ、ご飯食べに行くので、行きませんか?豚まんとか、色々食べ歩きたいんだよねー。」
「ワシは監視役じゃ、勝手にしろ。」
「はーい!じゃあまず肉まん探しに行きますね!」