第6章 旅人として
「ふ、眉毛出来てる。今気がついたの?」
「…カカシは五月蝿いなー。ほっといてください。あの歩く時に嗅いだラーメン屋さん知ってる?」
あのたまらなく美味しそうな匂い……熱々の味噌ラーメンが食べたい、チャーシュー、半熟卵、ネギ……想像しただけでヨダレが止まらない。
「多分…ラーメン一楽だと思うけど、行ってみる?」
カカシは私のキラキラした様子に戸惑いながら、聞いてくる。多分テンションが違い過ぎてついていけてないようだ。
「一楽って言うんだ、行きたい!!じゃあ行こう?ほら、カカシ、早く!!」
ウキウキして手招きしてるのに、ダルそうに歩く。全くやる気を感じない。
彼の左腕をギュッと掴んで引っ張る事にした。Eカップの胸を思いっきり引っ付けて向かう事にした。
「暑いから離れてよ、もう。」
やっぱり彼は靡かない。
あんまりこういうあからさまな態度は好きではないらしい。というか私を好きになる気配はないみたいだ。
「…カカシごめん、離れる…」
ションボリしながら私が絡める腕を離した。
離れた方が暑くないし、嫌な気持ちにはならないはずだ。ゆっくり離していくと、カカシが溜息を吐きながら、ポケットから手を取り出し、ギュッと握ってくれた。
「あー、もう…何で………もういい。手を繋いでやるから、これでいいでしょ?」
カカシの大きな手に包み込まれ、優しい声をかけられ、私はニッコリと、ご機嫌に変わる。
やっぱり、彼は優しい。
嬉しく感じながら歩いていけば美味しい香りが誘い出す。
一楽に到着する結構前から匂いで分かった。この匂いだ、一気にテンションがマックスに上昇していく。