第5章 牢屋
「……開けて出してやれ、この人は旅人さんだ。スパイじゃない。」
「ろ、六代目!!?何を言ってらっしゃるのですか??どう考えても怪しいでしょ?偽造通行証を使ってるんですよ?」
「あれはこの人が慌てて、名前を書き間違えたらしいよ。ま、責任はオレがとるから。開けてやって、頼むわ。」
「信じられません…。え??本当にいいんですか??開けますよ??」
門番は何度も何度もカカシの決定に確認しているが、答えを変えなかった。
「六代目が……そこまで言うなら……仕方がないですね、僕は知りませんよ?」
門番の足音が聞こえ、わたしの前で音が止まった。
ガチャガチャ…コンッ…ギーー
と鍵とドアが開いた音が聞こえた。
すると足音が近づいてくる。
「ろ、六代目!!!?ま、待ってください!中に入ってはいけない!」
その番人の声と同時に、
カカシの匂いが溢れてきて、目を覆う布を取り縄を外してくれ、真っ暗闇から急に明るくなり、目がチカチカするなと思っていたら、カカシが目の前にいて、力強く抱きしめられていた。
急に身体に触れられビクッとしてしまう。背中に手を回して身体を擦るように密着して抱擁されている。
「何で泣いてんの、オレ何か酷いこと言った?もう、止めてよ。」
その声を聞こえた途端、唇に指を触られ、
吸い付くように口づけを何度もされてしまい、目を閉じていた。
「ほら、出るよ。」
グイと引っ張られ、外に連れ出される。
番人は理解出来ない顔をしている。私も理解出来ない。そのままスタスタ牢屋から出て、外に出て歩いていくが、カカシは、ずっと手を繋いで歩き私を離さなかった。