第5章 牢屋
「布外して?カカシ様、あなたに逢いたくてここまで旅をして来たの。お願い。」
「………え?オレに逢いに来たの?」
「そうよ、六代目に一目お会いしたくて来たのよ。」
こんな風に言っても布を外してくれ無いのはわかっている。
ずっと沈黙して、返事がない。
呆れているのだろう。今更煽て(おだて)て意味がないのに、何やってんだ、って思われているのだろう……どんよりして気落ちしていく。
何故か分からない、今自分の姿を呆れて見られているって思った途端に、へこむ自分がいた。涙が出そうな、悲しい気持ちが込み上げている。
布を付けているのに、何故か下を向いていた。見えないのに、彼の声がする方を向きたくない自分がいた。
カカシの大きく息を吐く音が聞こえ、席を立った音がする。
あ、とうとう火影は私を見切って帰るようだ。途端に涙がポロポロ流れて、泣いている事に気がつくがもう遅かった。涙が溢れて止まらない。
スンスン鼻をすすっている。離れていくの?行かないで欲しい、そう言おうとした時、カカシがもう一度溜息を吐いた。