第5章 牢屋

次の瞬間、私は事実を受け入れる事が出来なくて、がっかり後悔した。


「嘘、何でなの？あ、あり得ない……最悪…何で砂の隠れ里なんかに…」


一人ぶつぶつ言っている。
もう何て、私はバカなんだろう。

この気配を知っている。知っているどころか…この気配の人間は………


足音とともに近くにくる気配で、私は全てを悟った。

「こんなの、卑怯よ。」

「やっぱりお前か…、また会ったな。」

「どうも、お久しぶりですね。その節はどうも。」

声しか聞こえないが、あの男なんだろう。そうか、だからあんなに強いのか…私は本当に運がない。

「ただ旅行に来ただけです。出してください。」

「出すわけ無いでしょ。何しに来たのよ？どこから？誰の指示？教えなさいよ。」

「言いたくありません。私は気ままに旅をしていたので、故郷はありません。」

頑として旅人を振る舞うが、まーしつこい人間だ。何回も何回も先程から変わらず聞いてくる。しんどくなってきたのか、椅子に座った音がした。

「よっこらせ……お前何にも教えてくれないね。三十分ぐらい聞いてるのに、一個ぐらい教えてよ？」

「それより、偽造通行証が分かった理由を教えてよ。」

「の目の下に、ホクロがあるでしょ？右側に。美人で目の下にホクロがある女の名前がじゃなかったら、とりあえず連れて来いって言ってたの。あれは本名でしょ？」

目の下にホクロ？ああ、あるね、小さく、と、一人で納得した。