第3章 出会い
徐々に激しく強い抱擁に変わり、息苦しく感じ、グッと力を入れるが全く歯が立たず、全然離れてくれない。この男と私の力が違いすぎる、力が出ない……。
「や…止め……」
どうにかキスの合間に拒否した声を上げると、突然、ガバッとその音に反応したように身体を剥がした。
「「………はぁ…はぁ……」」
その男性の口布を取った顔を初めて見た。
頬が赤く染まり、とても動揺して焦っているよう見える。
口元には色気を感じる小さなホクロがあり、つい口元から目が離せない。
「す、すみません!オレは何て事を……!」
真っ赤になってパニクる男をまん丸にして見開いていた。自分も息荒く、自分が自分じゃないような、幻術でもかけられたように、今会ったばかりの人間のキスの続きを求めていた。何て間抜けな、自分が情け無い。溜息をついた。
「…いえ、大丈夫です。」
あまり事を大きくして目立ちたくない、という思いから、口少ない人間を演じる事に決めた。
砂隠れの里の忍だろうか、三十代前半?
額当てはしていない。任服は普通だ。
風影…では無いだろうが、相当な使い手だと感じる。
一気に周りと正面にいる人間を警戒した。