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【進撃の巨人】不遇の果て 【リヴァイ裏夢】

第1章 自責の念




憲兵団からの条件は一つだった。

「リヴァイを殺せ」

手錠をかけられ、有無を言わせず地上へ連れて行かれた。
知りもしない街へ辿り着くと、空は地下街と変わらず暗かった。
唯一違うのは月が出ている事だけだ。
月明かりに照らされて、地上へ出た感傷もないままに、リヴァイのいる建物内部の地図を渡され、対人立体機動装置を付けた。

どうやらリヴァイの暗殺を目論んでいる連中が多いようで、猫の手も借りたいという状況は見てとれた。
ケニーはこの暗殺に関わっているのだろう。
売られた、というよりは一人でも多くの手練れを集っている、そんな印象。
アルバは地下街から出られる理由さえあれば良かった。
これは好機だ。

リヴァイという名は地下街においても有名で、人類最強だの、一人で4000人の兵力だの、最恐にして最強の名をほしいままにしている。

アンカーを伸ばして動作を確認した。
アルバの使用していたものよりも、ずっと使い勝手が良い。

殺す、か。

アルバがどの程度までやれるのかは、おそらく憲兵、ケニーですら期待はしていないだろう。
だからこそやってみせる。
所詮、死ぬだけだ。死ねばもろとも。
地下にいても何も変わらない。
そんな日々をこの手で終わらせてやる。

「リヴァイの首と、お前の身の保証の交換だ」

アルバは小さくうなづく。

「さぁ、行け」

アルバはリヴァイのいる建物の窓側、アンカーを打ち込んだ。
窓に向かって散弾銃を放つと、轟音と共に窓は割れ、足をかけて建物内へと立ち入る。侵入はいとも容易かった。

寝室と思わしき部屋には消えたばかりの蝋燭と、まだほんのり温かいティーカップがあった。
アルバは耳を立て周囲を警戒し、まだ見ぬリヴァイを想像した。

「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」

頭の中で唱えていた呪いの言葉は、自然と声に出ていた。
カップを壁へ投げ捨てると派手な音を立てて割れた。全てはリヴァイをおびき寄せるためだった。

建物内を探し回るが見当たらない。
すべてのドアを開けたがどこにもリヴァイはいなかった。
苛立ちから声にならない声で叫んだ瞬間に、アルバの割った窓からアンカーが飛び出し、アルバの頬をかすめた。

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