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【進撃の巨人】不遇の果て 【リヴァイ裏夢】

第1章 自責の念



地下街。
19になったアルバは、半ば便利屋として、生業のために様々なものを犠牲にした。
仲間を売ることもあった。
日光の当たらないこの地下では、足を悪くする連中が多く、妙薬だと偽り薬の売買や医療協会の真似事、更には闇市で高値で取引されていた立体起動装置も手に入れた。
歯向かう者は力で黙らせた。

そのせいか、地下街ではアルバの居場所はほとんどないに等しかった。
カモがいないのである。
長年に渡り甘い蜜を吸い過ぎると毒になるらしい。

「潮時か」

近頃、憲兵もうるさくなってきている。
金はあるが、地上へ出たあとに住めるほどの余裕はなさそうだった。

今日もコソ泥のような真似をし、たった二つのりんごを手に入れただけの収穫であった。
今頃血眼になりアルバを探していることだろう。
ほとぼりが冷めた頃合いに、迷路のような地下街を潜り抜けて、ようやく高台の自室へ辿り着いた。

鍵を開けて中へ入った途端、

「動くな。」

首元に鋭いナイフが向けられた。
目線だけを動かして凶器を確認する。
刃物、拳銃、鉄棒。
心当たりのありすぎるアルバは状況を理解するのが早かった。
服装を見るに憲兵団だ。
ナイフを向ける者、布で口を覆い拘束する者、銃を向ける者。男3人がアルバへ視線を向けている。

「叫ぶと殺すぞ」

こうなる事は時間の問題ではあったが、まさか居場所まで把握されているとは思わず、油断をした自分の不甲斐なさに苛立った。

「お前がアルバだな」

抵抗を見せないと分かると、一人の憲兵が布をあてがうのをやめ、口元は解放された。
だが、何一つ好転はしないとアルバは分かっていた。


「選べ。ここで死ぬか、地上で死ぬか」

「…なにをすればいい」

「察しが良くて助かる。ケニーを知っているな?」

なぜ憲兵団からケニーの名が出てくるのか。
思わず目を見てしまう。
アルバの動揺は隠せなかった。

「お前はあいつに売られたんだよ」





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