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【R18】ドロップス【幸村精市】

第5章 青色ドロップ



 それをスプーンで掬って、ゆっくりと口に含む。舌にプリンが触れた瞬間、ふわりとした甘さが口内に広がり幸せな気分に浸ることが出来た。

 ーー最近のコンビニのスイーツって凄いんだな…。

 そんな事をぽつりと思って、また一口食べようとプリンを救った所で、不意にチャイムが鳴り名前はギョッと目を見開いた。プリンを片手で持ち、ポケットに忍ばせておいたスマートフォンを取り出し時間を確認する。
 まだまだ時間に余裕があると思っていたが、気づけばSHRの時間になってしまっていた。

「ま、丸井くん!早く行かないと!SHR始まっちゃう!」
「あ?真面目だなーお前は。んなもんどうだっていいだろい。今日ぐらいサボっちまおうぜ。今はコイツらの方が大事だしよ」
「えぇ…?さ、サボり?でも、怒られるよ…」
「どーだかなぁ。あんだけ生徒多いんだ、一人や二人、サボったところで先生達気づかねぇだろい」

 言いながらまた大きく口を開き、残り半分となっていたシュークリームを口に放り込んだ丸井。相変わらず幸せそうな表情を零しながら咀嚼しつつ、次の獲物を狙っている。
 気が気ではない名前に対して、丸井はサボるという事にあまり抵抗がないのか至って普通だ。
 肝がすわっているというか、なんというか。
 次の獲物はどうやらエクレアに決まったようだ。袋の先を摘み持ち上げて、先程と同じように勢いよく袋をあけた。
 ぱんっ、という乾いた気持ちのいい音を耳にし、なんだか名前はどうでもよくなってきてしまって…軽く息を吐いたあと、スマートフォンを膝におき、残りのプリンをゆっくりと食べ進め始めた。
 口いっぱいに広がる幸せの甘さに、頬を緩ませていると、不意にスマートフォンが膝の上で軽く震えた。ぶぶっ、と短く振動したそれに視線を向ければ、朋子からLINEのだった。

 "休み?!具合い悪いの?!大丈夫?!"

 焦ったような文章の後に、ぽん、と押されたなんとも言えないスタンプ。可愛いのか可愛くないのかイマイチ判断付きにくい猫をモチーフにしたキャラクターのそれは涙を流していて、思わず笑ってしまった。
 そんな名前に、どうした?、なんて丸井は問いかけてきた。エクレアはまだ口にしていない。

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