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【R18】ドロップス【幸村精市】

第9章 番外編︰どっちが好み?※R18




 事が終わった頃、空は先程の雲行きの怪しさなど何処へいったのか?と言うほど綺麗な夕焼けへと変わっていた。
 フローリングで意識を手放してしまった名前の体を綺麗にした幸村は、風邪を引かないようにと彼女をベッドへと運びそっと掛け布団をかけた。
 すやすやと気持ち良さげに寝息をたてる名前の寝顔を、笑みを零し眺めていた幸村のスマートフォンが不意に鳴り出した。
 ディスプレイを見てみると、朋子からであった。
 なんだろう、と首を傾げつつも通話ボタンをおし、そっと耳に宛がえば、やけに上機嫌な朋子の声が鼓膜を震わせた。

『よっ!幸村!どうよ、下着、可愛かったでしょ?』
「…愛卯が選んだのかい?あの下着」

 突然の言葉に驚いたが、それよりもまずあの下着を選んだのが朋子だったという事実の方に幸村は目を丸くさせ驚いた。

『そーだよ。可愛かったでしょ?あんた水色好きだから水色で可愛いやつとセクシーめなやつならなんでも喜ぶかなって。で、名前どっち付けてた?』
「…変な事聞くなよ」
『いや全然変な事じゃないし。ていうか、さっき、あの下着って言ったって事は見たんでしょ?ほらほら白状しろ。あんたの為に私は昨日名前と買い物行ったんだから』
「…はぁ。可愛いいやつだよ。フリルがついてたやつ」
『おーそっちか!で、どうだった?可愛かった?』
「ふふ…名前は何着ても可愛いに決まってるだろ?」
『あーはいはい、ご馳走様でした!』

 そう言って笑った朋子は電話を切った。
 通話を終え、つーつー、となるスマートフォン。終了キーをタップしてから、名前へと視線を投げた。相変わらず幸せそうに寝ている。

「夢じゃ、ないよね、これ」

 幸福すぎる事実に、幸村はぽつりと呟いてから自身の頬を抓ってみた。
 じんわりと広がる痛みに、一人で苦笑を漏らし、小腹が空いたからとテーブルの上にあったドロップを一粒つまみ、口に放り込んだ。

 それはとても幸せな恋の味がする、ドロップだった。

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