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【R18】ドロップス【幸村精市】

第8章 ドロップス



 それでも空気のようにお互いがお互いを居ないものとするよりは格段にマシだった。四人は屋上で毎日のように昼食をとり、教室では他愛もない話に花を咲かせた。
 そんな平穏な日々を過ごしていたある日。
 月日が流れ七月も中旬となり、うだるような暑さが続いていたが、その日は朝から土砂降りの雨だった。加えて湿度も高く、じめじめとまとわりつくような暑さに名前は嫌気がしていた。
 加えて女性特有の期間の二日目にぶつかり、気分は最悪だし体調もあまり優れなかった。だがしかし、嫌な事は続くもので一限目は体育の授業だった。
 本来ならば晴れていればプールの筈なのに。あ、けど結局入れないか…なんて心の中で独り言を零す。
 名前は重い足取りで朋子や宮野と一緒に更衣室へと向かった。腰の痛みと腹の鈍い痛み。ただ歩いているだけなのに拷問かのように名前の気力や体力を奪っていく。

「ちょっと名前、あんた大丈夫?」
「え?」
「名前ちゃん顔色凄く悪いよ?具合い悪い?」
「あー…うーん…生理痛が酷くて…薬とかある?あるなら欲しいー…」

 心配そうに声を掛けてきた二人に、弱い笑みを浮かべながらそう問えば、私持ってるよ!更衣室行ったら渡すね!、と宮野が八重歯を見せて笑う。
 その言葉にほっとしつつ、三人は他愛もない話をしていると更衣室へとすぐに辿り着いた。
 半分屍と化している名前に、ベンチに座るように促した宮野は手早く鞄から薬とミネラルウォーターを取り出し差し出した。
 
「…ありがとう、これで寿命が少し伸びたよ…」
「アホなこと言ってないでさっさっと飲みなさいよ」
「あ、はい」

 冷めた目と言葉を朋子から投げられ、名前はしょんもりつつもすぐに薬と水を飲み改めて宮野に礼を述べてから体操着へと着替えた。
 


 体育の授業はB組とC組の合同授業だった。それはつまり、B組の一員であり彼氏である丸井ブン太が居るという事だ。
 ほぼ無理矢理体を動かして体育館へと着けば、むわっと暑くまとわりつくような熱気が名前の気力と体力をさらに奪った。
 
 ーー見学にしとこうかな…。

 そんな事を一瞬考えもしたが、折角薬を貰ったんだし、と言う考えが同時に過ぎった。

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