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【R18】ドロップス【幸村精市】

第7章 赤色ドロップ




「はー…腹減った…なぁ、須野。なんか食いもんねぇのか?甘いもんとか」

 川で遊びはじめて一時間が経った頃。不意に丸井がそんな事を言い出した。ビーチボールを抱え、そこに顎を乗せながら話す丸井は、本当に腹が減ったのだろう…元気さが抜けている気がする。
 丸井の言葉に目を丸くさせた一同は、とりあえず川から出ようか、と小石がごろごろと散らばっているそこへと足を踏み入れ腰を下ろした。
 時刻は既に16時を過ぎていたが、日差しが暑くまだまだ川で遊べそうな状態だ。現に、川から出た今太陽がじりじりと肌を刺激してくる。
 ログハウスを出る前に入念に塗っておいたが、もう一度塗っておこうか…と、鞄から日焼け止めを取り出し、塗りなおしつつ名前は口を開いた。

「もうお腹すいたの?さっきパウンドケーキ食べたのに」
「食ったけどよー…1個だろい?俺もっと食えたのに…」
「えー?結構大きめに作ったんだけどな」
「そう言えば、お父様が皆で食べてと洋菓子の詰め合わせをくれたのを思い出しましたんですの」
「おっ本当か?!よし、須野、取りに行こうぜ!」

 嬉々としてログハウスの方を指さした丸井に、あからさまにめんどくさそうな表情を零した須野。

「私も行くんですの?食べたいなら丸井さんお好きに持ってきたらいいんですの」
「んな事言ってもよー。俺だけだとそれがどこにあるかわかんねぇだろい。つうか、皆でってくれたやつ俺が勝手に持ってくるのなんか悪い気がするし」
「はぁ…分かりましたですの。名前、ぱっといってぱっと戻ってくるんですの」
「うん、分かった。気をつけてね」

 一緒に行こうか?と言おうかと一瞬思ったが、それだと柳生一人で待ちぼうけになってしまうから、とそれは言わなかった。
 まだ見ぬお菓子に心踊らせる丸井と、至極面倒くさそうな表情を零す須野。まるで真反対な二人の反応に、名前と柳生は笑いつつも、二人を見送った。
 ログハウスから川まで歩いて五分ほどだった。往復十分で、探す時間もあるからもう少し掛かるかな?などと思いつつ名前は柳生と他愛もない話を始めた。

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