第7章 赤色ドロップ
須野が用意した紅茶と、名前が用意したパウンドケーキと仲良く食べ終え、少ししてから四人は川へと向かった。
話し合いの結果ーー川へ行きたい丸井1人と、どちらでも構わない名前と柳生2人と、明日も行けるから明日にしようの須野1人、という訳で皆で川に行くことに決まったのだ。
体が冷えてしまうんですの!なんて最初は不満気な須野であったが、川に着いた途端目を輝かせそわそわと体が動いている所を見る限り、全く嫌という訳ではなさそうだ。
そんな須野が可愛くて頬を緩ませていると、川に着いて早々待ってましたとばかりに丸井が鞄の中かビーチボールを取り出した。
空気が入っておらず萎れているそれに息を吹き込めば、程なくして出来た真ん丸なビーチボール。
「うっし、準備完了」
そう言った丸井は早々に服を脱ぎ始めた。皆ログハウスで水着に着替えてから川までやってきたのだ。
服を脱いだ丸井に、名前はなんだか見ては悪い気がして慌てて視線を逸らしつつ、自身も服を脱いだ。脱ぎ終えた服を鞄の上に置いから、そっと丸井へと視線をやり、頬が一気に熱くなった。丸井の上半身に目がいってしまったのだ。
薄らとついている筋肉が太陽に照らされて、とても眩しい。目のやり場に困るな…なんて視線を泳がせた名前の視界に、今度は柳生の上半身が映り込み、思わず間抜けな声をあげそうになった。
丸井よりもほんの少し筋肉がついている柳生。見た目は細そうに見えるのに、意外と筋肉はしっかりしていて男らしい。
ーーって、なに二人の裸まじまじ見てんの私…!!
「苗字さん…?!具合いでも悪いのですか?」
自分の破廉恥さに気づき、顔を真っ赤にしながら疼くまった名前に気づいた柳生。慌てて駆け寄りしゃがむと顔を覗きそんできた。その際、柳生の上半身が視界に飛び込んできてまた間抜けな声が出てしまいそうになった。
それをなんとか堪えた名前は、大丈夫…、なんて苦笑を漏らしつつ柳生を見やれば、何故か彼は顔を真っ赤にして少し気まずい顔をしている。
「柳生くん?」
どうかしたの?と首を傾げた名前の体が、ふわりと揺れた。突然乱入してきた丸井が、名前の体を後ろから抱きしめたのだ。