第7章 赤色ドロップ
それからまた、他愛もない話をしていれば、あっという間に別荘へと着いた。車でどのくらい走ったのか覚えていないが、そんなに走っていなかった気もするし、長かったような気もする。
話に夢中で、時間の事なんか忘れていた。
大きな大きなログハウスに車を横付けした須野の父親は、四人全員分の荷物をログハウスの中へと置くと早々に車へと乗り込んだ。
須野の母親も来る予定だったが、仕事の都合で夕方から来ることになったのだ。今の時刻は15時を少し過ぎた頃。今から母親の仕事場まで向かえば16時半頃にはそこへと着くらしい。
「すぐに戻ってくるけど、くれぐれも危険な事はしちゃダメだよ。川がすぐそこにあるから、暇なら四人で先に遊んでおいで。浅い川だから平気だとおもうけど、気をつけてね。深いところにはいっちゃダメだよ」
そう言葉を言い残して、父親は車を発進させあっという間に見えなくなってしまった。
残された名前達四人は、とりあえずログハウスの中へと入り革張りの柔らかなクッションへと腰を下ろした。柔らかすぎず、程よく体を包んでくれる、とてもいいクッションだ。
「で、どうすんだ?」
腰を下ろして早々に口を開いたの丸井。どこか落ち着きがなく、そわそわしているように見える。
その丸井の言葉に、一同顔を見合わせたあと、そっと口を開いたのは須野だった。
「今から川に行っても構いませんが、夕方ぐらいから川の水が冷えてきますの。川で遊べたとしても一時間ちょっとぐらいですの」
「そうなんだ。じゃあ、明日にする?その方がゆっくり遊べるし」
「えー!んだよーいいじゃねぇかー少しでもいいから川で遊ぼうぜ、な?」
須野と名前の言葉に、丸井はあからさまに不満気な表情を零すと駄々っ子のように唇を尖らせた。
その表情が可愛くて、思わず笑っている名前の横に腰掛けていた須野が、何かに勘づいたようにぴくりと眉を跳ねさせた。
「丸井さん、貴方名前の水着が早く見たいだけではありませんの?」
「なっ…!?ち、ちげーよ馬鹿!んな事あるわけ…いや、そりゃ、あるけどよー男なんだから仕方ねーだろ!な、柳生!」
「何故そこで私に話をふるのですか」
なんとも嫌なタイミングで話をふってきた丸井に、柳生は頬を赤らめ眉を寄せた。