第7章 赤色ドロップ
「うん。友達皆。と言っても私からしたら丸井くんは彼氏だからちょっと違うけど…。真凛ちゃんや柳生くんからしたら友達三人とのお泊まりでしょ?」
「……お友達、三人…」
名前の言葉を聞き、ゆっくりと復唱した須野は少しの時間をかけみるみると頬を真っ赤に染め上げた。
握っていたナイフとフォークをそっとテーブルに置き、赤い頬を隠すように両手をそこへと添えた須野に、名前は首を傾げつつ名前を呼べば、恥ずかしそうにそっと口を開いた。
「…お友達、ですのね、丸井さんと柳生さんは」
「え?うん。そうだよ、友達。ふはっ…二人のことなんだと思ってたの?」
「付き添いABですの」
「ふはっ…!なにそれ!あはははっ」
「わ、笑わないでほしいですの!」
「ごめんごめん、可愛かったら、つい」
薄ら目に涙をため顔を真っ赤にして怒る須野に、名前はお腹を抱えて笑うも謝罪を口にした。
ーー可愛いなぁ、真凛ちゃん。
笑いすぎて目尻に浮かんだ涙をそっと指で拭いながらそんな事を思っていると、先程まで騒がしかった彼女は不意に黙り込んでしまった。
しまった、笑いすぎたか?と焦り、謝罪の言葉を述べながら顔を覗き込めば、そっと両頬に須野の綺麗な手が添えられた。真剣な瞳に射抜かれて、思わず喉の奥に言葉が引っ込んでしまう。
しかし、黙り込んだ名前の代わりだとばかりに、須野はそっと口を開いた。
「…名前さん。少しは元気が出ました?」
「えっ…?」
「私、心配してたんですの。名前さんと初めて家庭科室で出会った時、私にあんなふうに話しかけてくれて…私とても嬉しかったんですの…。その後、お友達になれて、本当に…本当に幸せでしたの。けど、名前さんはいつも何処か上の空というか、なにかを考えているように見えましたの。…それで、その、嫌な事が少しでも晴れればと…今回この別荘行きを思いつきましたの」
そう言葉を紡ぎ終えた須野はそっと名前の頬から手を離した。
乗り出していた身を元の位置に戻してから、再度、その綺麗な瞳に名前を閉じ込めた。