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【R18】ドロップス【幸村精市】

第7章 赤色ドロップ



 そんな須野に苦笑を漏らしつつも、名前は他愛もない話をぽろぽろと幾つも話した。
 少ししてからメニューを広げ、二人で覗き込み早めの昼食を頼めばそれは10分もしない内に出来上がり二人の目の前に置かれた。二人分のハンバーグセットは、ほかほかと湯気をたてとてもいい匂いが鼻腔を擽り待ってましたとばかりに、ぐぅ、と腹が鳴った。
 丸井や柳生が午前中いっぱい部活のため、須野の別荘に行くのは午後からとなるため、二人はそれまでの間喫茶店での駄べりで時間を潰すことにした。
 その為須野の両親は今現在ここには居ないが、丸井と柳生が合流してから父親に連絡をいれその車で別荘まで向かう…という事になっている。

「美味しそうですの!私初めて喫茶店に入りました、感激ですの~!」

 目の前に置かれたハンバーグに満面の笑みを浮かべながらそう言った須野に、可愛いなぁ…なんて名前の頬は緩む。

「喫茶店初めてなんだ?」
「そうですの。私お友達いた事が未だかつて無くて…両親はあまり外食は好きでありませんでしたので」
「えっお友達いた事ないって今までの人生の中で?!」
「はい…ですから、名前さんが私の初めてのお友達なんですの」
「そっか…そうなんだ…記念すべきお友達一人目が私でいいのかな?」

 そう言いながら気恥しそうに頬をかいた名前。視線を須野からハンバーグへと移し、食べようか、と言葉を投げれば彼女は嬉しそうに頷いた。
 ナイフとフォークを使いハンバーグセットを食べ進める二人。店内のBGMは一昔前に流行った夏の歌が流れている。
 水を口に含み、喉へと通した名前はふと口を開いた。

「真凛ちゃん、改めて別荘行き、誘ってくれてありがとうね」
「いえ、とんでもありませんの。私が名前さんと行きたくて誘ったんですから」
「へへ…そう言ってもらえて嬉しいな。友達皆でお泊まりとか久しぶりだなぁ」
「…?友達皆?」

 頬を緩め話す名前の言葉に、須野は何故かしぱしぱと目を瞬かせ首を傾げてみせた。
 その反応の意図が読めず、思わず名前も首を傾げつつも言葉を続ける。

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