第7章 赤色ドロップ
そんな訳で、月曜日と木曜日以外は生徒会室に入り浸っているのだが、ただ居るだけでは申し訳ないと書類整理などを手伝ったりしている。
それは生徒会の時だけではなく、生徒会室を使っている風紀委員の時もだ。生徒会が外に出ている時は大抵、風紀委員の柳生が顔を出し他愛もない話をしながら生徒会の時と同じように書類整理などを手伝う。
それをもう半月ほど繰り返しているせいか、生徒会のメンバーも風紀委員のメンバーも名前を見ても何も言わず、それどころか生徒会に!風紀委員に!…と勧誘を受けるほどになってしまった。
「別荘?!真凛ちゃん、別荘持ってるの?!」
書類整理していた手を止めて、名前は先程の須野の言葉に大きく目を見開き驚愕の表情をあらわにした。
別荘。産まれてこのかたそんな単語とは無縁だった名前。まさか友人の口からその単語と一緒にお誘いの言葉が飛び出すとは思ってもみなかった。
目を大きく見開き、パイプ椅子の背もたれに身を委ねるほど体を反らせ驚愕の様をあらわす名前に、須野は吹き出して笑ったあと、そっと口元に手を当てゆっくりと話し始めた。
「そんなに驚くほどの事ではありませんの。そんなに大きくもありませんし」
「いや、別荘がある時点で驚きだよ…喋り方が上品だったから、もしかしてとは思ってたけど…真凛ちゃん、お金持ちだったのね…」
「お金持ちかどうかはよく分かりませんが…。兎に角、どうですの?来ていただけますの?」
「行く!!行かせて!!是非!!」
急かすように問うてきた須野に、名前は慌てて体制を整えると相手の手をぎゅっと握りしめきらきらと目を輝かせそう力強く言った。
そんな名前に、須野は照れくさそうに…しかし、至極嬉しそうに花のような笑みを浮かべた。
「あ、じゃあさ…折角なら丸井くんと柳生くんも誘わない?」
手を離し、浮き気味だった腰をパイプ椅子におろしながら名前はそう提案した。
「えっ…あの二人もですの?」
「だ、ダメかな?大人数の方がもっと楽しいと思ったんだけど…」
「うっ…」
あからさまに渋い顔を見せた須野に、残念そうな表情を浮かべた名前。その表情に須野の良心が痛んだ。