第7章 赤色ドロップ
それから名前と柳生は他愛もない話をしながら職員室へと寄り、教師から与えられた10枚のプリントを受け取り生徒会室へと訪れた。
風紀委員は特定の部屋がないらしく、生徒会室と兼用らしい。そんな生徒会のメンバーは、今日が見回り当番らしく出回っているらしい。
ただ見回りと言っても、校則に引っかかりそうな者達には逐一チェックと指導を入れなければいけないため、そうすぐには戻ってこれないとの事。
それはつまり、柳生は本当に一人で風紀委員に仕事をしていようとしていた訳で。いくら風紀委員長とは言え、無理をし過ぎなのでは?と名前はぼんやりと思った。
「うひゃー…」
思わず口から意味のないそんな言葉が出るくらいには、机に乗ったプリントの束は凄いものだった。
教師に渡されたプリントは10枚。男子生徒用のプリントが5枚と女子生徒用のプリントが5枚。各クラス1部ずつ分コピーしたものが、どんと机に乗っているのだ。
まだ各クラス男女1部ずつだからいいようなものの、これが全校生徒分だった生徒会室は紙のうみとかしていた事だろう。
長テーブルに惜しみなく並べられた紙たち。男女分かるように5枚ずつきちんと別れており、更にそれを1枚目から5枚目まで横に並べていく。今からこれを纏めてホッチキスでとめる作業に入るためだ。
「…本当に、こんな事を手伝ってもらって良いのでしょうか?」
紙の山が10出来ているそれをぼんやり眺めていた名前に、柳生がぽつりと呟いた。
「気にしないでいいって。ちょっと量が多くてびっくりしたけど…立海だもんね、そりゃそうだ、あはは」
「…そう言えば、苗字さんは青学からの転校生でしたね」
「うん、そう。よく知ってたね?」
「桑原くんから昨日教えていただきました」
「ジャッカルくんから、なるほど」
柳生の言葉に緩く頷き納得した。そう言えば昨日のお昼休みの時、そんな話をしたのを思い出す。
あの時は時間なくて急いで食べたな、なんて思考を巡らせながら近くにあったパイプ椅子を手繰り寄せ、そこに腰を掛けた。近くにあったホチキスを一瞥してから、名前は気合を入れる。
ーー長い戦いが始まりそうだ!