第3章 白色ドロップ
好きな相手の話になると、女の子というものはこうもキラキラと輝くものなのか、と名前は内心驚きつつも彼女の可愛さに笑みをこぼした。
「で?」
「え?」
満面の笑みで可愛らしい顔を寄せながら、首を傾げられ、名前は意味が分からず同じように首を傾げてしまった。
そんな名前の仕草に、もー…鈍いなぁ、なんて言いつつ寄せていた顔を離し咳払いをひとつ落とした。
「幸村、好きになりそう?」
「……えぇ?」
「私的に幸村は名前のこと好きになりそうな予感するのよね。朝とか手引きながら教室入ってきたじゃない?その時なんかお似合いだなーって」
「ちょ…ちょっと待って!」
鼻歌を歌いそうなほど上機嫌な様子で話す彼女に、名前は慌てて自身の手でその口を塞いだ。
桃色の唇に自身の手が触れ、なんとも柔らかな感触が手に伝わり気恥ずかしくなり慌てて離せば、ウブな反応~、などとからかわれてしまった。
名前は自然と熱くなる頬を感じながら、こほん、と少し大きめな咳払いをひとつ落としたあと、ゆっくりと朋子へと視線を向けた。
透き通るような白い肌に、頬にはほんのり赤がさしている。
その頬に手を添え、ん?、なんて可愛らしく小首を傾げ自分を見つめてくる彼女に、幸村精市という男にはやはり朋子みたいはこの方がお似合いだ、なんて一人確信していた。
「…どう考えても、朋子の方がお似合いだと思うけども」
「え?私?ないない!ないないないない!うぉえ~…」
「いや、否定しすぎ!ていうか最後!吐かないで!」
「だって名前が気持ち悪いこと言うから~」
苦虫を噛み潰したような表情をしながら、吐き真似をする朋子に思わず笑ってしまう。てっきり彼女は幸村の事が好きなのだと思っていたが…どうやら思い過ごしだったようだ。
よくよく話を聞けば、彼女と幸村は幼馴染だと言う。
小さい頃から幸村は男女問わずにモテていて、そのせいか変わった者が擦り寄ってくる事が多かったと言う。