第3章 白色ドロップ
「ふふふ…!おふたりさん、いいムードだね~」
笑みを零す幸村と、顔を赤くして俯いていた名前の間ににゅっと現れた朋子。口に手をあて、むふふ、なんて嫌な笑いを零している。
このこのー、なんて名前の体をつつく彼女はどことなくオヤジ臭くて笑ってしまった。
愛卯朋子という少女は、少し変わった美少女のようだ。
あはは、と声を出して笑う名前に少しだけ不思議そうな顔をしつつも、お昼を食べようと提案してきた。
「幸村は?いつものようにお花に水あげたら戻るの?バイバイ~」
言いながら手をひらひらと振る朋子に、幸村は溜め息つき、名前は笑う。
「まだなにも言ってないだろう。けど…そうだなぁ、たまには、ここで食べようかな。構わないかい?苗字さん」
「うん、勿論。良ければお花の話とか聞かせて欲しい」
「へぇ。花に興味があるのかい?それは嬉しいな」
至極嬉しそうな表情を零したあと、お弁当をとってくる、と幸村は屋上を後にした。
そんな幸村の後ろ姿が見えなくなった途端、朋子は大きく口を開き、名前へと詰め寄った。クリクリとした大きな目に、間抜けな顔をした自分が映っており、笑ってしまいそうになった。
「どう?幸村精市、いい男だよね?」
頬を紅潮させ、そう問うてきた彼女に、名前はぴんときた。彼女は幸村精市という男が好きなのだ、と。
見目麗しいとてもお似合いのカップルだ。
愛卯朋子は天使のように可愛らしいし、幸村精市は絵になるほど綺麗だ。
「ね、どう?名前から見て、幸村…いいと思わない?」
「あ、う、うん…素敵だと思うよ?」
キラキラと目を輝かせる朋子の勢いに、名前はたじろぎつつこくこくと頷けば、そうだよねぇ!、と彼女は嬉しそうに笑った。天使のようだ。
彼女は幸村に気があるのだから、あまり褒めたたえても気分が良いものではないのではないだろうか?と思いつつも、かっこいいよね?優しいよね?紳士的でしょ?、と興奮気味に矢継ぎ早に問われ目が回ってしまいそうだ。