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【R18】ドロップス【幸村精市】

第6章 緑色ドロップ



 しかしそんな丸井の言葉に答えることなく、朋子は至近距離にある丸井ブン太の整った顔をまじまじと見つめた。
 何を言うでもなく、ただじーっと自身を見つめてくる朋子に丸井は頬をひくつかせ足を一歩後退させた。

「…あんた、名前の事好きなの?」
「はぁ?!」
「ちょ…朋子!!!」

 突拍子もない朋子の言葉に、丸井は目を見開き声をひっくり返し、名前はギョッと目を丸くし大きな声で彼女の名を呼んだ。
 しかし、そのどちらの声にも驚くことはせず、朋子は相変わらずまじまじと丸井の顔を見つめる。顎に手を当て、まるで展示されている骨董品を品定めしているようだ。
 そんな朋子に、失礼だからやめなさい、とほんのり赤みのさした頬で名前はたしなめた。そんな名前を一瞥した朋子はほんの少し考えたような仕草を見せたあと、にやりと嫌な笑みを浮かべた。
 その笑みに、名前だけではなく丸井もゾワワッと背筋を悪寒のようなものが走った。

「どーなのよ、あんた、名前のこと好きなの?」
「ど、どーだっていーだろい、んな事。つーか、なんでお前にんな事教えなきゃいけねーんだ」
「ふーん?ま、私はいいけどね。あんたが名前のことどう思ってようが。あ、それより名前、さっきの合コンの話なんだけど、あの男やっぱ気に入った感じ?」

 丸井から視線を外し、名前へと視線をうつした朋子は花のような笑みを浮かべながらよく分からないことをつらつらと問うてきた。
 合コン。
 そんな話、まるでしていない。

「は…?ご、合コン?ちょっと朋子、何言っ…もごっ」

 訝しげな表情を零しながら、言葉を紡ぐ名前の口を己の手で塞いだ朋子。相変わらず花のような笑みを浮かべている。
 そんな朋子を、相変わらず頬をひくつかせながら見ていた丸井だが"合コン"と言う言葉にぴくりと片眉を跳ねさせた。

「おい…お前今、合コンつったか?」

 眉を寄せ、少しだけ不機嫌さを醸し出した丸井に笑みを深くした朋子だったが、すぐにその表情をすっとぼけたものへと変え肩を竦めて見せた。

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