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【R18】ドロップス【幸村精市】

第6章 緑色ドロップ



「……本当にそれだけ?」

 朋子の鋭い声に、一瞬体がぎくりと震えてしまい言葉を詰まらせてしまった。
 不味い、と思ったがここで慌ててと繕っても仕方がない、と名前は心の中で一度深呼吸をしてからそっと口を開いた。

「なにが?それだけだよ。他になにもない」
「……は~~~~~~~~~…」
「いや、なっがいな、溜め息」
「おうおうおう、名前ちゃんよぉ?私を見くびりすぎじゃねぇのか?おん?」
「ふは!いや、急にどうしたの、ていうか何キャラ?」

 ご丁寧な事に声のトーンまできちんと変えて凄んでくる朋子がおかしく、思わず名前は吹き出して笑ってしまった。
 見た目は物凄い美少女だと言うのに、愛卯朋子という人物は中身が少し残念な所がある。まぁそこが返って面白くて、親しみやすくて名前は朋子の事が大好きなのだが。
 声を上げて笑う名前に、朋子も少しつられて笑いそうになっていたが、咳払いをひとつ落とし無理矢理話を続けた。

「ほらほらほら、名前、私は誤魔化せないよ。言ったことは嘘じゃないけど、他にもなんかあるでしょ?なにがアンタの気分を沈ませてるの」
「え、し、沈んでなんかないよ」
「嘘。声のトーンが落ちたの分かったもん。言ったでしょ?私は誤魔化せないって」

 だから、素直に良いなよ、嫌な事があったって。
 そう、澄んだ声で朋子が言うものだから。名前はぐっと言葉が詰まり、代わりに涙がじんわりと浮かんできた。
 それまで、涙が出る気配なんてなかったのに。突然浮かんできた涙に名前は焦り目元を拭い、鼻を啜れば、朋子は落ち着いた声で話し始めた。

「名前、私はね。幸村と幼馴染じゃない?ずっと近くで見てきた幼馴染だから、幸村に幸せになってもらいたいのね。でも、幸せになってもらいたいのは名前もなの」
「……朋子、」
「名前と出会ったのはまだほんの少し。幸村との年月に比べたら足元にも及ばないよ。けどね?名前の事が私は大好きなの。だから、名前を悲しませてる原因が、幸村なら…私は幸村を怒るよ」

 真剣な声音で言う朋子。普段はあまり出さない声だ。

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