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【R18】ドロップス【幸村精市】

第6章 緑色ドロップ



 * * *

 翌日、月曜日。名前は幾分すっきりしたような顔で朝を迎える事が出来た。
 と言うのも、丸井イチオシのケーキを食べ帰宅した後、話したりないな…などと思っていた。そんな時、丸井から着信が入り、二時間も他愛もない話に花を咲かせたのだ。
 そのおかげが、脳裏と心にこびりついていた幸村がほんの少しではあるが薄れた気がしたのだ。
 丸井ブン太という男のおかげで、名前はだいぶ気持ちが軽くなっていた。

 ーー丸井くんに改めてお礼言わなきゃな。

 そんな事を思っていたら、ベッドに置かれていたスマートフォンが不意に震え鳴った。LINEの通知音だ。
 名前は制服を着終え、姿見の前でおかしな所がないか確認したあとスマートフォンへと手を伸ばした。
 LINEは朋子からだった。

 "ごめーん!家の用事でちょっと遅刻する!寂しがらないでね~!"

 そんなメッセージの後に、送られてきたあの独特なスタンプに名前は吹き出して笑い返事を打とうと指を動かした時、しゅぽん、とまた新たなメッセージが送られてきた。

 "そう言えば、昨日幸村とデートだったんでしょ~?ネタは上がってるよ!後で聞かせてもらうからね~♡"

 そのメッセージを見て、ぴたりと指が止まってしまう。
 瞬間、ぶわりと蘇る昨日の出来事。薄れていたものが、また鮮明に蘇りそうで、名前は大きく頭を左右に振ってみたがあまり意味はなさなかった。
 なんと返せばいいか、よく分からなかった。
 うろうろと指をスマートフォンの上でさ迷わせたあと、ひとつ溜め息をはき、タップしていく。

 "遅刻了解!待ってるよー!♡デートはね、途中で中止になったの"

 そう打って、スマートフォンをポケットへとしまおうとしたが、ぶるる、と震えながら着信音を鳴らし始めたそれに名前はギョッと顔を破顔させた。
 取り落としそうになってしまったスマートフォンを慌てて握り、ディスプレイを見れば朋子と表示されている。
 朝から電話をしてくるなんて珍しいな、と思いつつもすぐに通話ボタンをタップし耳にそっとスマートフォンを押し当てれば、どういう事?!、なんて裏返った大きな声が耳をつんざいてきた。

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