ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話
第7章 銀灰色の暗殺者とその過去7
「貴女、名前は?」
「名はない。コードネームで呼ばれていたから…銀灰色の暗殺者。それだけよ、この髪のように汚れて最後は灰になり一人静かに朽ちて死んで行く…」
「貴女の仰っている意味は、まだ理解出来ないけれど…でも綺麗よ…私はお父様に似た色のだから。本当に羨ましいわ…」
少女は陽だまりのようなクリスティーナに目が離せなかった。光の中で生活し、誰にでも愛されて、暖かい家があり、家族がいて、食事は勿論、綺麗な服、お風呂、ベッドも全てある。自分とは正反対だった…羨ましい。何より憎い。そう思った。
「……匿おうか」
「!、もう!旦那様は流石ですわ!私もそうしようかと思っておりましたの!」
「なぜ、私を助けて貴方達にメリットがあるのかが分からない…」
「メリット…そうね。クリスティーナが貴女を気に入ったからよ。あの子に気に入られるなんて、貴女中々やるわね?」
「話しは後にして。アメリア、先ずは呪いを解いて差し上げなさい」
アイリーン公爵の言葉に頷いたアメリアは楽しげに微笑み、好き勝手話しを進めて行く。アイリーン公爵も普段通りに使用人達へ仕事をするよう促していた、陽の光を浴びてアメリアの銀髪がキラキラと輝いている。エルフ特有の長く尖った耳も見えて、やはりこの嫁はハーフエルフだったかと納得した。少女に近付くと膝をついて、少女の胸に手を置いた。
「裏切った犬を逃がさないように、爆弾を心臓に埋め込み爆破させる呪いだなんて…悪趣味過ぎるわね。まぁ…私には関係ございませんけれど?」
淡い光が胸の周りを包み、手が離れた。余り変わっていないから少女は内心首を傾げているだけである。アメリアはそっと離れて行く、いつの間にか拘束していた魔法も解除されており、クリスティーナは母の隣に連れられていた。