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ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話

第7章 銀灰色の暗殺者とその過去7


少女には幼馴染みがいた。怪盗であり貧しい人に分け与える義賊であった彼が好きで、ずっと傍にいたいと願った。でもアンナは任務で失敗した、殺さないといけなかった相手は…アイリーン公爵家の夫妻だった。何百人以上いる中で、使用人に扮するのは簡単で、手際良く紅茶を用意し近付いた瞬間にバレた。アイリーン公爵も強いが、それよりも強かったのはその嫁である。嫁は人間とエルフの間に生まれた娘で、大変美しい銀髪をしていた。無言呪文で技を繰り出す能力はとても強く厄介な相手であり、無能力者の少女は敗れた。魔法で人の目には見えない輪で少女を拘束する。

「私の旦那様を仇なす輩は、全てねじ伏せて見せますわ」
「屋敷を壊すなよ、アメリア」
「もう!先ずそこの心配ですか!旦那様!大丈夫です!手加減致しましたし!全くっ…それで、貴女はこれからどうなさるの?多分マフィアの人間でしょう?なんの成果もあげられずに帰ったら間違いなく“死”ですよね?」
「騎士団に身柄を拘束と言う表向きの形で…保護した方が?」

アイリーン公爵はどうしようか考える。その時騒ぎを聞き付けた4歳の娘、クリスティーナがひょっこりと顔を覗かせてとてとてと入って来た。流石の2人は驚き、使用人もアワアワと止めに入ろうとした。

「わぁー!お姉様はお母様の妹様なのですか?」
「えっ…」
「だってとても綺麗な銀髪だから…羨ましいですわ」

拘束していても暗殺者だ、危ないからと声を掛ける大人達を無視して好奇心旺盛なクリスティーナは彼女の髪を撫でた。家族のいない少女にとって妹と間違われたのはかなりの衝撃であり、クリスティーナの母…アメリアも王妃に銀髪を褒められるまでは自分の姿が嫌で仕方が無かった。人間にもなれずエルフにもなれない。周りから迫害を受けており、綺麗だと何度もアイリーン公爵が熱烈なアピールをして漸く結婚出来たのだ。そんな忌み嫌う髪を自分の愛する娘に言われてしまったら…そう母、アメリアは意を決して口を開いた。
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