ロリコン王子(絶倫)をドMに覚醒させようとする悪役令嬢の話
第7章 銀灰色の暗殺者とその過去7
本当にクリスティーナは少女を気に入ったようだった。アイリーンの名字を入れる所とか、独占欲が見えた気がした。小さなクリスティーナは無意識だろうが…母であるアメリアはそれがまた微笑ましくて笑ってしまう。
「アンナ…それが私の名前…」
「アンナ…ね。いい名前だわ…今日から宜しく。アンナ」
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それからと言うもの、アンナはクリスティーナに振り回されてどこに行くにもアンナじゃないと嫌だと駄々をこねられた。良くも悪くも振り回されて楽しかったりもしたし、なにより憎しみよりも既に忠誠心の方が勝っていた。
「アンナ、ずっと私の傍にいてね?」
「勿論です、クリスティーナお嬢様」
クリスティーナの笑った顔を思い出して不安で胸が張り裂けそうになっていた。どうして…優しい彼女が攫われる結果になってしまったのか。護衛の身でありながら、目を離してしまった自分が悪い…元マフィアの人間の仕業なのは分かった。闇の世界から逃げられないとも分かっていた。でも…命より大切なクリスティーナを人質にとるなんて、怒りで目の前が真っ赤に見えた。
「クリスティーナお嬢様は、私が命にかえても守る…」
例え、どんな結果になったとしても…アンナは冷静になれと目を閉じて街の屋根に飛び乗った。