第1章 安土城での、とある夜の出来事
飄々とし、全く悪びれた様子がない光秀に涙目で訴える
信長「騒がしいぞ、貴様ら。何時だと思っている」
ゆっくりと近付いて来る信長の表情は少し不機嫌に見えた
「信長様っ…すみません、私が天井からの水に驚いてしまって大声を…」
信長「天井、か…光秀の話を真に受けた貴様らしい理由だな」
光秀「くくっ…からかい甲斐のある女だ」
三成「?あぁ、夜更けになると落武者の血が天井から落ちてくると言う、あれ……」
「きやあぁっ!」
ドターーーンッ!
光秀が夕餉の際、聞かせた怖い話を再度言葉にした三成をまた押し倒してしまうのだった
秀吉「おっおい、…っお前また…」
「やめてやめて!ほんとに怖いからぁぁぁっ!」
は三成にしがみつき、その胸に顔を埋めたまま頭を左右に振っている
政宗「……おい、三成」
三成「いたた…はい、何でしょう、政宗様?」
政宗「お前の役目、俺と代われ。お前ばかりさっきから組み敷かれて気に入らねぇ」
明らかに不機嫌な顔の政宗が三成を牽制するように言うと
三成「うーん…例え政宗様の命でも何故か譲る気持ちにはなれないのです。すみません」
政宗「ちっ…お前も隅に置けねえって事か」
秀吉「…案外、腹黒いな 三成」
三成「え?そうでしょうか?思ったままをお伝えしたのですが…怒らせてしまったようですね」
家康「三成のくせに、気に入らない…」
家康はぽつりとそう呟くと
家康「ちょっと、早く離れなよ。二人とも怪我なんてされたんじゃめんどくさくてやってられない」
家康は溜め息をつきながら、三成からを引き離し再度立たせる
「ごめん…でも、私は怪我してないから大丈夫だよっ!」
家康に笑顔を向けると、家康は一瞬目を見開くが、ふいっと視線を外される
家康「……あっそ、ならいいけど」
信長「貴様ら、その女は俺の持ち物だ。下らん言い合いをするな。
それより、秀吉」
秀吉「はっ!」
信長「早々に水が落ちる原因を調べさせろ。毎夜これでは騒がしくて敵わん」
秀吉「はっ…夜明けを待ち、家臣達に確認させます」
政宗「案外、本当に落武者の首が出てきたりしてな?」
諦めきれないように、政宗は更にゆうこを追い詰めていく