第1章 安土城での、とある夜の出来事
ある夏の暑苦しい夜更けーーー
「ぅぎゃあああああああっっ!!」
静けさをかき消す様な悲鳴が安土城内に響き渡る
ガラガラガラッッ
ドタドタドタッッ
秀吉「何だっ?!何事だっ?!」
政宗「っっ…おま…?何やってんだ?」
三成「様っどうされたのですか?」
真っ青な顔で今にも泣き出しそうな顔で振り返るに安土城にいた三人の武将たちが慌てて駆け寄ってくる
「なっっ何かが背中にっっ!!」
秀吉「何っ?」
「何か冷たいのが…っ」
ーーーピチゃンッーーー
「ひやああああっっ」
三成「わぁっっ!」
ドターンッッ!!
政宗「おっ」
秀吉「おい、…」
三成「いたたた…様、どうしたのですか?」
政宗「へーぇ、俺の目の前で三成を組み敷くとはなかなか良い度胸してるな」
「そんなこと言われたってぇ~~~」
突然背中に感じた二度目の何かに怯え、目の前にいた三成に勢い良く飛び付いたため、支えきれずにそのまま倒れ込んでしまったせいで、が三成を組み敷く形になる
秀吉「落ち着け。背中に落ちたのはただの水だ」
秀吉は上に向けていた視線を下げ、ふぅっと息を吐き、ゆっくり座ると落ち着かせるように頭を撫でる
「えっ…?水?本当にただの水?血じゃない?!」
秀吉「は?何で血なんだ?
最近夕立が凄かったからな。瓦にひびでも入ったのかもな」
光秀「くくくっ女子らしからぬ叫び声を上げたかと思えば、水に驚いた訳か」
家康「全く人騒がせ……。元はと言えば光秀さんが夕餉の時に怯えさせたのが原因でしょ。ほらも…いつまで三成に乗っかってるの?」
騒ぎを聞いて意地悪く笑う光秀と心底迷惑そうな顔をした家康が近付いて来る
「あっ!ごめんね、三成くんっ怪我、してない?」
三成「はい、様も起き上がれますか?」
にっこりと笑い、を離すと家康がその体を抱えるようにして立たせると三成も続けて立ち上がる
光秀「あれは、この小娘が暑いと騒いでいたからだ」
「だからって!怖い話をするなんて、光秀さん意地悪すぎます!」
光秀「涼めただろう?」