第1章 安土城での、とある夜の出来事
「ただの雨漏り?」
騒ぎの翌日、家臣が見てみると秀吉が言っていたように瓦の間に少しヒビが入っていたらしく、朝からそこの修繕が行われていた
秀吉「ああ、先日の激しい夕立で木が折れただろう?それがちょうどあの瓦に当たってしまったらしい」
「そっかー。でも安心したぁ~」
はふにゃりと笑い、そっと胸を撫で下ろす
「でも、今日もこんなに暑いのに、みんな大変だ…冷茶でも用意しとこうかなぁ」
忙しく修繕している家臣と町の大工達に目線を向け、呟く
政宗「落武者の首が出てくれば冷えるんじゃないか?」
「なっっ…また!!そんなわけ無いでしょ!それに政宗の言葉は怖くないもん!」
一瞬ビクッと肩が跳ね、秀吉にしがみつくが、すぐに我に返るとベーっと舌を出す
政宗「ははっ!何だ、その可愛すぎる顔」
秀吉「政宗!ったく、を怖がらせるんじゃない!」
そんなやり取りを陰から見ていた光秀は静かにのうなじへと手を伸ばし
冷たい手で撫でる
光秀「天井には落武者の首……襖からは…氷のような手が忍び寄りお前の首を狙う……」
「!!!ぅぎゃあああああああっっ」
政宗「あーぁ」
光秀「おやおや…くくくっ」
秀吉「っ…!」
気を失って倒れた体を慌てて秀吉が抱え込む
「みーつーひーでーっっ!!!」
ごつん!ごつんっ!!
政宗「いってっ…!何で俺までっ」
秀吉「お前がを怖がらせたんだろう」
光秀「っ…少しは加減したらどうなんだ、秀吉」
秀吉「お前は少し反省しろ」
の体を支える片腕とは反対の手で思い切り秀吉から拳骨を喰らった政宗と光秀が頭頂部を擦っていると盛大な溜め息が聞こえる
家康「…あんたら、そんなに俺の仕事を増やしたいんですか?」
三成「おや?様はお昼寝されているのですか?」
信長「貴様ら、飽きもせずまたやってるのか」
の回りには、自然と武将たちが集まり穏やかで優しい雰囲気に包まれる
その光景を見る女中達や家臣達もまた、穏やかな笑みを浮かべるのだった
そして、秀吉に起こされ目覚めたは二度と『暑い』と口にしないと心に固く誓うのだった
終