第3章 変な人
「ねぇ、まだ帰らないの?」
後ろから声を掛けると、驚いたのか目を丸くして
「どうしてここに…?」
桃城君と帰ったんじゃ無かったの?と顔を真っ赤にしながら問いかけてくる絢那さんを
ほっといちゃいけないと思った
帰るトコ無いって言うから
冗談で不良娘って事ね…と言うと、また顔を赤くして否定する。
コロコロ変わる表情を見て、羨ましく思う。
何か変な人だけど、可愛いかも。
話を聞いてる時に、両親が寺のお手伝いさんを募集していると思い出す。
まだ誰からも応募が無いと困っていたっけ…
住み込みだから、帰る場所無いって言う不良娘…いや、絢那さんにピッタリだと思って
軽い気持ちで「じゃあ、家に来る?」と伝えたんだ。
最初はご迷惑じゃないかな?
と気にしていたが、俺の家に着いてカルピン、両親、菜々子さん…皆から歓迎されて
嬉しそうにお世話になりますと頭を下げた姿を見て、
俺は風呂場に向かった。