第2章 こんばんは、異世界。
「お主は、今までの子たちとは違い面白いのぉ」
「お褒めに預かり、光栄です…?」
褒められているのか微妙な気はしたが、一応そう返すと
学園長先生は何が面白かったのか、大きく笑い声を上げられた。
突然の笑いに目を丸くして、数回瞬きをするも暫く学園長先生は笑い続けられた。
「あ、の…?」
「ふぉふぉっ、すまんのう。
お主の切り返しが斜め上でついのぅ」
あー、お腹痛いと言い、やっと笑いを抑えられた学園長先生。
時間にしては学園長先生が笑いだして数分であるが、先ほどまでのピリピリとした雰囲気が嘘かのように、室内は和やかな空気が流れだし戸惑う。
斜めの上の発言をするような鈍間な奴は、警戒するだけ無駄だとでも思われたのかな…。
「そうじゃお主、名はなんと言うんじゃ?
ワシは大川平次渦正じゃ。此処、忍術学園の学園長をしておる」
「ご丁寧にありがとうございます。私は糸野ことはです」
「ことはか、良い名じゃの」
「ありがとうございます、両親も喜びます」
良い名かどうかはよく分かっていないので、差し当たりのない返答をしておく。
名前に関しては、あまり気にしたことないからなぁ…。
「ほっほっほっ、してことは。
改めて聞くが、お主この学園でお手伝いをしてみんか?」
「いきなり私のようなよそ者が、大切な生徒さんが通う学園に居るのはよろしくないと思うのですが…」
「なぁに、あの子らも忍者のタマゴ。そのくらいでどうかなっては、この先やっていけぬよ
それに、先ほどお主も言っておったように、此処にはお主のように先の世から来た者が居る。
一人増えたくらい、どうってことないわい」
「……ですが」
学園に居ると言うことは、幼い頃アニメで観ていたドタバタ騒動に巻き込まれる可能性があるわけで。
そんな面倒なこと、できることなら御免被りたいというのが素直な意見で…。
主人公くんたちと話してみたい、という気持ちがない訳でもないが…。
「……ふむ、ならばこうするぞ!」
「えっ?」
中々首を縦に振らない私に痺れを切らしたのか、一つのことを提案された学園長先生。
というよりも、こうしようではなくて、こうする?
私に拒否権はないのでしょうか……?
こんばんは、異世界。
(嫌な予感しかしないのですが…)