第3章 初めまして、のその前に
「新野先生、包帯です」
「傷薬です」
「あぁ、2人ともありがとうございます。
伊作くん、天女様の包帯を外して頂けますか?
私は布に薬を塗りこみますので」
「分かりました」
二人から包帯と傷薬を受け取りそう告げると、新野先生は布を取り出し薬を塗りこみ出す。
伊作、さん?がこちらを向き人好きのする笑みを浮かべた。
正し、目は若干笑っていない、気が、する……多分。
分かりにくいなこの人…怒らせたらきっと怖い人なんだろうなぁ…。
「では、天女様失礼致します」
「は、い…お願い致します」
こちらに向き直った伊作さん?に右手を差し出し、包帯を外しやすいようにと結び目を上向きにして。
差し出す際、微かに腕が震えたが仕方ないよね…?
「では、失礼して…」
一言断り、手を取ると手際よく包帯を外し始める。
徐々に血の滲みが濃くなる包帯に比例して、心做しか包帯を解いていく彼の眉間に皺がよってきたような……考えるのはやめておこう…。
彼の反応を極力を見ないように、目線を下に落とす。
自然と視界に映る手元を見ていると、傷口を覆っていた包帯を解き終わり傷口が顕になる。
血で赤く染まった包帯に納得するほど、ぐじゅぐしゅになった傷口が顕れた。
よくよく傷口を見てみると、黄色のような黄緑のような…なんとも形容し難い粘膜?のようなものも出ていた。
「…は?」
「すみません…。」
傷口を観察していると、とても低い声が頭上から聞こえた…反射的に謝った私は悪くない、はず。
いや、確かに見るに堪えない傷だけれども…は?って…それも低音って……。
「いえ、天女様に言った訳では……。
数馬、悪いけれど井戸で水を組んできてくれるかい?それと、清潔な手拭いも」
「はい、直ぐに持ってきますね」
そう返事をするが早いか、数馬さん?は素早い動きで医務室から出て行かれた。
そんなやり取りを見た私は申し訳なさで胸がいっぱいです…ドジでごめんなさい……。