第2章 こんばんは、異世界。
「ふむ、これは深く切っていますねぇ。痛みませんか?」
「あー、いえ。慣れてますので…」
怪我の具合を見られ、痛みについて聞かれたが思わず苦笑いが零れてしまった。
というのも、私は元々大小様々ではあるが、怪我をしてしまうことが多く、痛みには慣れている。
こんなに盛大に転び怪我をするのは、数年ぶりではあるが……周りの子よりは確実に怪我をする回数は多い。
自然と痛みに強くなっていても仕方ない、だろう多分。
「おや、そんなに怪我を?」
「えぇ、ドジなものですから…」
初対面の人にこんなことを言うのは恥ずかしいが、事実であるので笑って誤魔化しておく。
「女性なんですから、気をつけてくださいね。」
「はい…」
新野先生にそっと窘められ、治療は終わった。
簡単な応急手当らしいので学園長先生のお話が終わり次第、医務室に来るように、と。
そう告げると新野先生は現れた時と違い、私たちが入って来た襖から学園長先生に一礼し退室されて行った。
学園長先生は、入った時に返事をされたおかっぱ頭のおじいちゃんのことで、この学園の長さまらしいです。
怪我の手当て中に隣に来て、はちゃあくん?がこっそりと教えてくれた。
きっと目上で偉い人ということを教えてないと、粗相をすると思われたのだろう。
はちゃあくん、その判断は正解だよ…。
私は気づいたらドジをしているような人間だから。
気を付けているのに起こるんだから……ツイてないんだろうな。
軽く現実逃避をして、改めて一番偉い学園長先生に向き直り正座をすると深々と頭を下げる。
「夜分遅くに申し訳ございません。
此処がどこであるのか、教えていただけませんか?」
「頭を上げなさい。そんなに畏まらんでよい」
「ありがとうございます」
言われた通りに頭を上げ、真っ直ぐと学園長先生に視線を向ける。
どことなく見覚えがある気がするのは、なんでだろう…?
一つの違和感が胸に引っかかりを覚えるが、学園長先生が口を開かれたことにより、その思考を一度止め話に集中することにした。