第2章 こんばんは、異世界。
「オイ!こんな所で何、を……」
「あっ……す、すみません。」
突然聞こえた、咎める声に反射的に謝れば
声の主が手元に蝋燭を持ち、灯りとして使っていることが分かる。
今の時代に蝋燭……?
疑問が思考を掠めるも、優先すべきことではないと判断して相手の顔を窺う。
「てん、にょさま……?」
「えっ、いえ私は」
ばっちりと相手の方と目が合うや否や、相手の方はそう呟き
神妙な顔で俯き何か考え始める。
「こんな時に…!!
…こちらにどうぞ、天女様。学園長先生の元にご案内いたします」
「えっ、あの…!!」
何かを呟き終わると、顔を上げて早口にそう告げると踵を返す彼。
彼に置いて行かれないように慌てて追いかけるも、コンパスの差なのか中々彼に追いつけない。
「あっの!不法侵入って、どう責任をと、れば!?」
「いえ、その件についてはを気になさらず。
ひとまず学園長先生にお会いして、貴方の処分は考えますので」
「は、い…!」
息が若干上がりつつも彼に追いつき、聞こえて来た話に頷き足を早めることにした。
「ッ!?」
「は?」
あれ?と思う間もなく、私は足を早めると同時に何故か転んでしまい。
ズシャーという効果音が似合いそうなほど、見事なスライディングを決めることとなった。
その際に前を歩いていた彼から間の抜けた声が聞こえたが、聞こえなかったことにしよう。
言い訳させて貰えるのなら、これ以上彼に離されると迷子になると思っての行動だった…そう言わせてください。
「あー、その。大丈夫デスか?」
「大丈夫、です。すみません」
気まずくなった空気に、彼は面倒だということを隠すことをせず…寧ろ面倒だと表情に前面に出し、私のことを見下ろしそう聞いてきた。
此処で擦りむいたところが痛いですなんて、素直に言えるわけもなく…形式上大丈夫だと伝えて謝罪を示す。
まぁ、ひとつ言わせて貰えるなら
真後ろで転ばれた時の正しい対処法なんてないと思う。ないと思うけど……せめて目を逸らすとかしてほしいなぁ!?
「そうですか、なら行きますよ」
「はい…」
大丈夫なら歩けるよな?と言わんばかりの威圧に萎縮されつつ大人しく彼について行くことにする。
心の中で逆ギレして悪かったけど、威圧をかけるかなぁ!?