第14章 転入試験
「あかりちゃん~めっっっちゃ頑張ったねぇ~!」
「う、麗日さん、何でここにいるの?」
「みんなで見てたんですのよ、蒼井さんのこと応援しようって。」
「も、百さん…」
靴を履き替えて校舎を出ると、今度はA組のみんなが待っていた。麗日さんはわたしの手を握ってぶんぶんと振り回している。
頑張ったねとか、よかったよとか、賞賛の言葉を次々と浴びせられ少し恥ずかしい。
「まっさか会場の屋根全部壊しちまうとはなぁ。」
「蒼井くん!本来ならあれは立派な器物破損で罪に問われる行為だぞ!」
「ま、まあまあ飯田くん…!でもすごかったね、蒼井さん!移動した物体が移動先の物体を押し退けて転移するって原理は本当にすごいな、サポートにも攻撃にも使えるし紙切れ1枚あれば何でも切断可能…色んなところで役に立ちそうだ、あっ1度に移動できる質量とか重さに限りはあるのかな、それとも」
「お、おい緑谷!またブツブツタイム入ってんぞ!?」
「はっ、ご、ごめん蒼井さん!」
たった5人なのに、こんなにも騒がしくて、賑やか。20人全員揃ったら、きっともっと騒がしいんだろうな。
夏休み明けから、わたしは21人目の生徒になる。キリ悪いし奇数だしきっとわたしだけ端っこの席だけど、それでもわたしは、この人たちとならがんばっていけそうだと、そう思った。
「ありがとう、みんな。」
自然と笑みが零れる。
中学の時、ヒーローになりたいと言って笑われたことがあった。雄英に行きたいと言って笑われたことがあった。
もうその人たちの顔も覚えてないけど、わたしはここで、ヒーローになる。ヒーローになってやる。
『おまえは何にだってなれるし、どこへだって行ける。オールマイトが平和の象徴なら、お前は自由の象徴だな。』
昔、お父さんに言われた言葉を思い出す。その時は何言ってるのかよく分からなかったけど、今ならよくわかる。
『なりたい自分に、なっていいんだよ。』
___……あれ、これは、誰に言われたんだっけ。