第14章 転入試験
「…ッな、何事…!?」
近くで凄まじい爆発音がした。これも試験の演出?ラスボス登場、とか?どうしよう、もう殆ど体力なんか残ってないのに。
そんなことを考えながらも、体は黒煙の立ち上がる方へ駆けていく。
「…ッ嫌…!」
「オールマイトはどこだ!」
なに、あれ。
さっきの女の子が、難いの良い男に捕えられ、足をばたつかせている。
男はオールマイトの名を呼び、目に付く物を全て破壊し回っているみたいだ。わたしは物陰から男の様子を伺う。
いやいや、ここは雄英高校だぞ。こんな男が侵入すれば警報の一つでも鳴るはず、それにこの試験は教師陣も見ている。それなのに何の指示もない。これは、試験の一環か。それとも、USJの時のような、敵の奇襲か。
もし後者なら、まずいことになったと思う。
「…なんだあれは。」
「ッあ、え、えっと。」
もう1人の受験者の男の子だ。
名前は、確か、心操くん、だったっけ。
物陰に隠れるわたしに声を掛け、隣で同じ様に息を潜め始めた。
「わ、わかんない。けど、先生達からの何の指示も無いから、試験の一環っぽい、けど。」
「じゃあ、あいつを倒せば試験合格か。丁度ロボットばっかりでうんざりしてたところだ。」
「ま、待って!」
立ち上がり男の前に立ちはだかろうとする心操くんの服を掴んで静止させる。確かに試験の一環である可能性は捨てきれないけど、そうでなかった時が怖すぎる。
男は人質を取っていて、何かしらの理由で先生達は手出しができない状態。そしてここには、わたしと心操くんの2人だけの戦力。
「…あいつ、オールマイトはどこだって言ってた。USJの時の敵も、オールマイトを殺しに来てたんでしょ」
「……らしいな。」
「なら、危ないよ。人質取られてるし、たとえ試験の一環だったとしても、今飛び出すのは得策じゃない、…と、思う。」
わたしの話に納得してくれたのか、心操くんは「ならどうすんだ」とわたしの隣にしゃがみ込む。
とにかく、対人戦の試験があるなんて案内には書いてなかった。ということは、求められているのは咄嗟の判断力と、それを実行する行動力。これが試験かどうかなんて関係ない、とにかく今は、あの子を助けることだけ考えなきゃ。
「…先生達の様子を、見てきてほしい。」
「……は?」