第14章 転入試験
「あかりちゃん、大丈夫かな…」
「蒼井さんの瞬間移動なら鉄の破片ひとつであのロボの動きを封じることが出来るし自身の回避にも使えるからこういった試験は有利…いやでも使いすぎによるデメリットも必ずあるはず、それって回数…それとも距離か…?そうだとしたらまず移動に瞬間移動は使えない、なるべく走って個性を温存しないと、」
「で、デクくん…?」
「はっ!ごめん麗日さん何!?」
あかりが転入試験を受けていたその頃、試験会場を見守る先生達の元に緑谷と麗日、飯田、それに八百万、上鳴、の面々が集まっていた。
「もう!私達が緊張してどうしますの?蒼井さんを信じますのよ…!」
「や、八百万さんも緊張してるよね…」
「…お前ら、何しに来た。」
「何って!あかりちゃんの応援っすよ応援!」
相澤の問いに、ねぇ?と上鳴が同意を促す。
「し、心配で見に来ちゃって…」
「面識のある友人が我が雄英の転入試験を受けるとあっては!応援したくなるのも人間の性というもの!そうだな緑谷くん!」
「う、うん!」
蒼井の姿を映し出すモニターを食い入るように見る生徒達の姿に、相澤はため息を一つ零す。
邪魔するなよ、と念を押すと、小学生のような返事が返ってきた。
「あ、相澤先生、あかりちゃん、受かりますか…?」
「知らん」
「し、知らんって…その為にあの合宿開いたんでしょ!?」
「これは単なるチャンスだ。それを掴むか逃がすかはあいつ次第だろ。」
相澤の言葉にしん、と黙りこくる生徒達。それもそうだ。この3人のうち、誰か1人が受かるとは限らない。例え一番になれたとしても、全員が落ちる可能性だってあるのだ。
(それでも、試験という形でチャンスを与えたのは。)
相澤は、入学直後の個性把握テストの時のことを思い出していた。
あの土壇場で指を使うというちょっとした小細工を見せた緑谷を見た時の感覚。
「…見込みはあり、って感じだな。」