第13章 決意表明。
「…あ、まって、轟くんだ。」
「んん?」
上鳴くんとのおしゃべりも程々に、ふと上鳴くんの背後に視点を合わせれば、10メートル程先に轟くんの姿を見つける。
轟くん、なんであんなとこでずっと立ってるんだろう。
上鳴くんと共に轟くんのところへ駆け寄った。
「轟くん!」
「…蒼井、」
「良かった、ごめんね、わたしよそ見してて…。」
「そしてあかりちゃんがクソ野郎どもにナンパされてるところを颯爽と助けた俺ってわけ!」
轟くんははっと我に返ったように顔を上げ、わたしの名前を呼ぶ。わたしを映し出す瞳は、戸惑いに揺れていた。
上鳴くんの言ってることは真実であるが、なんだか釈然としなくてスルーする。それよりも、轟くんなんで、そんな顔してるの。
「…どうかした?具合悪くなっちゃった?」
「……いや、」
「あかりちゃん、すげーお前のこと心配してたんだからな。」
上鳴くんがぽん、とわたしの肩に触れると、轟くんは不意にわたしの腕を掴んで歩き出す。その表情は暗くてよく見えなかったけど、なんだか悲しそうな、怒っているような、そんな感じ。
「悪い上鳴、世話になった。」
「お、おう…… 」
「かっ上鳴くん!今日はありがとね…!」
轟くんに手を引かれながら呆然とする上鳴くんに手を振る。歩道橋を降りる寸前、上鳴くんの苦笑いが見えた気がした。
前を歩く轟くんは、なんだか話しかけにくい雰囲気で、わたしは黙って彼についていく。けど、そのうちその沈黙が辛くなって、人気の無くなってきた草むらの向こうで口を開く。
「と、轟くん怒ってる…?」
「……怒ってねぇ。」
「あ、あの、ごめんね。…わたし、よそ見してて、勝手に迷子になっちゃって。」
轟くんは立ち止まり、こちらを見ずに静かに言葉をこぼす。
思えば、ここ最近は轟くんに迷惑をかけてばかりだ。こうも子供のように手が掛かれば、嫌になることもあるだろう。轟くん、お母さんに言われたから、仕方なくわたしのこと見ててくれてるのかな。なんか、それって、
(すごく…申し訳ない。)