第13章 決意表明。
「で、誰と来てたの?」
「と、…轟くん。」
「とッ轟ィ!?」
とりあえず、と人混みから抜け神社の端にあるベンチに腰掛ける。
上鳴くんの問いかけに言っていいものかと一瞬躊躇うが、折角探してくれるというのに目標を言わないのも不自然だ。
「で、できてんの…?」という上鳴くんの言葉にぶんぶんと首を横に振る。
「そ、そんなんじゃないよ!…えっと、たまたま、来る途中で会って、一緒に回ろう…的な」
「は~ん」
「……何その顔。」
「いえ別にィ?」
もちろん嘘だ。でも用心棒の為、昨日からうちに泊まってますなんて口が裂けても言えなかった。もしかしたら来月からクラスメイトになるかもしれない相手なのだ。下手な噂は流されたくない。
上鳴くんはさっき買ったと言うたこ焼きを一つ分けてくれた。
「でもまぁ轟かあ。連絡先知らねーの?」
「人混みで電波悪くて…」
「…ほんと、俺もだ。」
2人でスマホを宙に掲げ電波を探すも、変わらない「圏外」の文字に肩を落とす。
「そーだ!轟目立つ頭してっからさ、上から探したら見つかるんじゃね!?」
「そう、かな。それならこの先に歩道橋あるけど…」
いこいこ!と上鳴くんに袖を引かれるまま歩道橋に登る。指先に触れる手は轟くんより少し暖かい。
轟くん、大丈夫かな。遠目に見える人混みに目を向けるが、轟くんの姿は見つけられなかった。