第13章 決意表明。
「いや~すんませんねぇお兄さん方!そいつ俺の連れなんで!」
「は?…ンだよ友達って男かよ。」
手首から離れる手に安堵して大きく息を付く。冷や汗がすごい。男達は大きく態度を変え、人混みの中に消えて言った。
助けて、くれたのだろうか。お礼を言おうと、声の元へ視線を移動させると見覚えのある黄色い頭が目に入る。
「あかりちゃん大丈夫?ああいうヤツらマジでサイテーだよな!」
「え、えっと……上鳴くん、」
あたり!と上鳴くんが笑う。
短期合宿の時、声を掛けてきた人。正直それくらいの印象しかなかったけど、案外紳士なところもあるんだと思った。正直めちゃくちゃ意外だ。
「で、誰かと一緒に来てたの?合流するまで俺と回んない?奢るぜ!」
「……あのね」
「冗談だって!んな怖い顔すんなよぉ」
ころころ変わる上鳴くんの表情にうっかり笑う。さっきまでの不安な気持ちが嘘みたいに晴れて行った。
とりあえず開けたところに行こう、という上鳴くんの提案に頷く。
「ほい」
「…?何?」
「服、掴んでていいよって。またはぐれたら元も子もないだろ?それとも手繋ぐ?」
「服で!」
上鳴くんの服の裾を控えめに掴んでついていく。誰にでも声かけるの、やめたらモテるだろうになぁ。なんて思いながら、少なからず1人じゃないことに安堵していた。