第1章 わたしだって、ヒーローに。
「…けど、正直、助かった。人質取られちまって、何もできなかったから。」
「…!」
今回はたまたまうまくいっただけ。結果的に助かっただけで、わたしのとった行為は決して正しいものじゃない。
…けど、嬉しかった。誰かの役に立ったのは、初めてだったから。
「…その制服、隣の高校のだろ。ヒーロー科か?」
「う、うん。一応…。」
ふうん、と心底興味なさげに返答した後、いくぞ、と踵を返す。まあ、天下の雄英生がほかの学校の生徒に興味なんかあるわけないですよね!わかっててもちょっと劣等感を抱いてしまって、少し落ち込む。
そのあとは男の子を母親の元へ帰し、駆け付けたプロヒーローと警察に二人でこってり絞られた。本来なら、資格を持ってない人間が個性を発揮してはならないのだ。
それが、プロヒーローを目指すものならなおさら。