第7章 合宿最終日。
「それじゃあ…あかりちゃんと一緒にみんなで行動した方がいいかな?」
「いや。」
噂をすれば、轟くんだ。いや噂をしていたのはわたしだけで、しかも心の中でだけだけど。
轟くんとはこの合宿中何かと縁がある。それに…今朝のことを思い出して自然と顔に熱が集まる。
「それだと集まっている奴らの中に鬼がいると言ってるようなもんだ。二人か三人くらいで分かれて、相手チームの情報を探ろう。」
「そうだね!じゃああかりちゃんとは誰が一緒に行く?」
なんか、こういうのを姫プ、というのだろうか。ちょっと恥ずかしいような、情けないような。
「蒼井には俺が付く。」
「えッ、」
ぎゅ、と腕をつかまれ引き寄せられる。
うわ。めっちゃいい匂いする。この二日間、轟くんとは色々あったので、はっきり言ってわたし、むちゃくちゃ意識してます。
「そうね。轟くんなら安心だわ。」
「あ、ありがとう、よろしくね轟くん。」
ちらりと轟くんの方を見やると、轟くんはああ、と小さく返事をして至極優しい顔で上から見下ろされる。轟くんに触れられた腕が熱い。
ウッ、顔が良い……
「とりあえずはここで待機だな。蛙吹たちが敵の情報を集めてきてくれるのを待とう。」
「う、うん」
森から外れた崖の上。ここなら万が一敵襲を受けても視界が開けているからわたしの瞬間移動で逃げやすいし、轟くんの氷壁や炎も使いやすい。
「轟くんはなんでわたしに付いてきてくれたの?」
「なんでって…俺が一番適任だと思ったからだ。」
「はっきり言いますねえ。」
「あと…」
崖のふちに膝を抱えて座る。
森の中では爆豪くんが元凶と思われる爆発が多々起きていて、はは…と乾いた笑いを零す。
次の言葉を待って轟くんの方に目を向けると、ばっちり目が合う。
「お前のこと、守んのは俺がいいと思っただけだ」
「…え?」
それって、どういうこと?
そう聞こうとした私たちの元に、恋に浮かれたわたしのもとに、命の危機が訪れるまで、あと5秒。
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