第7章 合宿最終日。
「ちょっとちょっと!朝帰りって本気…!?轟焦凍ね、あんの天然タラシ男…!」
「ち、違ッ、春香落ち着いて…!」
「落ち着いてらんないわよ!で?どこまで行ったのよ。大人の階段登っちゃったわけ?」
「そっ、そんなわけないでしょ…!」
「いーやそんなわけあるわね。何故かって?アンタからは轟焦凍の匂いがすんのよ。」
「そ、それは……」
「ほら何も言えないじゃない!信じらんないあの男、まんまとあかりを部屋に連れ込んで…!」
「は、春香ぁ…」
出てしまった、春香の過保護モードが。
いや、何も無かったわけではないが、本当に何も無かったのだ。
時間を遡ること10分前。
午前7時8分。
「______こ、これは……」
目を覚ますとそこに見えたのは宿の天井。次に、
轟くんの顔面ドアップ。
「とッ…………!?、」
近い近い近い!
起き上がろうとするも何かが邪魔をして起き上がれない。いやちょっとまって、これは…
轟くん、なんでわたしのこと抱き枕にして寝てんの…?!
いや待っ、昨日はちゃんと別々の布団で寝たはず。わたしが寝惚けて布団を間違えた?いやここはわたしの布団、ということは轟くんが寝惚けて間違えた…!?
「ん……」
轟くんの掠れた声が耳元に響いて、顔が熱くなる。うう、寝てる時の声もかっこいい。
何はともあれ、このままでは心臓が持たない。生きる為には、一刻も早くここから脱出しなければ。
「…と、いうわけで、決して何かあったとかいうことでは…」
「……アンタね。寝起きで男が自分のこと抱いて寝てんのよ!?何かあったと疑うのが普通でしょ!」
ああだめだ、今の春香に話は通じない。
とにかく轟くんに春香を近付けないようにしないと。轟くんの身が危ない。
怒り奮闘の春香を宥めながら、朝食の席に向かう。
今日で合宿も終わり。頑張るぞ!