第6章 恋の自覚。
「悪いな、掃除手伝ってもらって。」
「ううん、わたしのせいで遅くなっちゃったし…」
あの後、わたしは女湯の掃除を手伝い、轟くんと一緒に部屋へ戻る最中だった。
轟くんもお風呂入った後すぐ掃除に入ったんだろうな。せっけんの香りが漂ってくる。イケメンな上に、匂いも良いとは…恐るべし、轟くん…。
「あ、わたしの部屋ここ…あ!」
「なんだ。」
「部屋の鍵、春香に預けたままだった。もう寝ちゃってるかな…。」
春香に電話してみるが、出ない。寝てしまったのだろうか。百さんは具合が悪いと言っていたし、麗日さんも寝ちゃってるかな。
「瞬間移動で入りゃいいだろ。」
「だ、だめだよ。雄英のUSJ襲撃事件から、雄英の使う施設は全部万全のセキュリティが敷いてある。個性使って不法侵入なんてしたら警報鳴っちゃうかも。」
ううん、と轟くんも頭を傾げる。
次の瞬間、轟くんの口から恐ろしい提案が飛び出る。
「俺の部屋、来るか。」
「へぇ!?」
「相部屋のやつ、青山なんだけど。腹いてえって医務室で休んでるから。寝るだけだし問題ねえだろ。」
ち、ちょっとまって。それってわたしと轟くん二人だけで一晩過ごすってこと…!?それってなんか、色々、大丈夫かな…!?
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ああ、わたしって嫌になるほどちょろい女。
相澤先生に言えば合鍵の一つでも貰えたんじゃとか、他の女子の部屋に泊めて貰うとか、いろいろ解決方法はあったのかもしれない。
それでもまんまと轟くんに付いてきてしまったのは、きっと、
「布団、そっちの使え。」
「う、うん…」
いや待って、轟くんは動揺のどの字すらないわけだけど、もしかしてわたし女として見られてない…?女として見られてたら自分の部屋に泊まれなんて言わない…?
「…ッう、自分で言っててしんどい…」
「?何が?」
「うッ、ううん!」
はあ、わたしが八百万さんみたいなナイスバディだったらなぁ。