第5章 瞬間移動【テレポート】
蒼井が二人が持ってるものに気付き、指をさす。
あれは、金属探知機だ。この森にある金属と言えば、俺たちが探しているネズミのロボットと、ヴィラン役の機械人形、もしくは誰かが持っている金属類だけ。
あの探知機がどれくらいの性能を持っているのかはわからねえが、反応の強さか何かで金属の大きさを計れるとしたら、
「機械人形を避けつつ、ターゲット、もしくは他のチームのやつを見つけられるってわけか…」
「あれ、貰えないかな。」
「貰えるわけ…」
…いや、貰わなくていい。あいつらを行動不能にしたうえで、あれをちょっと借りることができたら。
「蒼井、作戦会議だ。」
「うっ、うん…!」
「どうだ、なんか反応あったか?」
「いえ何も……いえ、まってください。小さな金属反応が出ましたわ。真っすぐこちらに向かってきていますわ。」
小さな金属反応は蒼井の靴に付いた金具の反応。蒼井
には、姿を見られないよう八百万たちに近づいてもらった。
「…ッな、!」
「上鳴さん!!」
そっちに気を取られているうちに、俺の氷で動きを止める。
まずは一人。
「八百万!絶縁体シートを作れ!そしたらこいつら俺の電気で…!」
「し、しかし時間が…!」
八百万は物の創造までタイムラグがある。
そのタイムラグを考慮した八百万は、防具よりも武器を作ることに重きを向けたみたいだ。細長い棒状の鉄を腕から生み出す。
それは、個性の発動までタイムラグがない蒼井にとっては、優勢だ。
「ごッ、ごめんなさい!」
「きゃあ!?」
蒼井が八百万の後ろに飛び拘束。
上鳴も拘束して木の幹に括り付ける。
「…ッやられましたわ、さすが轟さんですわね。」
「ンだよ~、どうせなら蒼井さんに縛られたかったぜ。」
これでとりあえず、敵は一チームだけだ。
「八百万、これ借りんぞ。…すげーな、こんなもんまで作れんのか。」
「ええ、悔しいですけど、今回は完敗。好きになさってください。」