第5章 瞬間移動【テレポート】
いやキーホルダー貰ったくらいで?我ながらちょろすぎでは?
そんなことない…よね。まあ轟くんってイケメンだし、イケメンにあんなことされたらそりゃドキドキしますよ。そう、わたしは悪くない。
「蒼井?」
「ふッ、ン!?」
覗き込むように目の前に現れた轟くんの顔。
近くで見ると、左目の青い目がきれいだ。…っていうか顔良!
「なんだその声。…ぼーっとしてるけど大丈夫か。もうすぐで俺らの番だぞ。」
「う、うん、ごめんね。大丈夫。」
そうだ、今は訓練中だ。
轟くんの足手まといにならないようにしないと…!
「次ー!轟と蒼井!準備しろ。」
「はい。」
「は、はい!」
今回、わたし達のチームはわたしと轟くんのふたりだけ。相手チームは二チームあるみたいだけどどこのチームかは知らされていない。
「まずは敵チームの把握と…ネズミがどこにいるかだな。」
「そうだね…でもこんなに木ばっかりだと見つけるのにも骨が折れそう。」
雄英高校が所有する広大な森。ここ全てが範囲内だというのだから、やはり雄英は一味も二味も違う。
とりあえず敵の情報を探るべく森の中を散策する。
「…ッし、蒼井こっち、」
「?」
轟くんが何かを見つけたみたいで、人差し指を口の前に立て手招きされる。
木の陰に隠れ、轟くんが指さす方に目を向ける。あれは…
「…ううん。やはり中々見つかりませんわね。」
「だなぁ。せめてほかのチームが誰かだけでもわかりゃいいんだけど。」
八百万さんと…あのチャラい人だ。
どちらも雄英生、あのふたりの個性をわたしは知らない。
「八百万と上鳴か…厄介だな。」
「あの二人はどういう個性なの?」
「八百万の個性は創造。原料さえわかればなんでも作れる。上鳴は雷。無差別に放電されるとこっちも動きづれえ。」
あのひと…チャラい人だと思ってたけどやっぱり雄英に行っただけのことはあるんだ。
「あの二人を行動不能にできたらそれに越したことはねえが…」
「ね、ちょっと待って、あれ…」