第4章 短期合宿、一日目の夜。
…ほんのした、出来心だった。
ただ、あいつはすげー才能を持ってると思うし、うちに来ればもっと強くなると思った。
…から、なんか、こんな気休めでも、あいつのやる気に繋がれば、と、思っただけで。
「ありがとね、轟くん。」
思えば、こいつのこんなうれしそうな顔見たのは初めてだった気がする。
最初に会った時はひどく落ち込んでいたし、この前、テスト用紙を返した時も泣きそうな顔をしていた。
こいつ、こんな顔もできるんだな。
あの日と同じ、その日も、やけに嬉しそうなあいつの顔が頭から離れなかった。